姫の眠りと同じ時を経ての再構築『眠れる森の美女』

姫の眠りと同じ時を経ての再構築『眠れる森の美女』
 この冬注目したいのは、8年ぶりの来日となるハンブルク・バレエ。その理由は、現代を代表する振付家ジョン・ノイマイヤーが率いており彼の作品を上演するということと、ドイツのバレエ団は、男女とも長身でスタイルの良いダンサーが多く、人間の鍛えられた身体=骨格の美しさが堪能出来るだろうと思うから。
 振付家ノイマイヤーが1989年、『月に寄せる七つの俳句』を東京バレエ団に振付けて以来、私は彼に興味を持っている。若い頃に俳句を読みふけったという彼の処女作は『俳句』。「振付と俳句は似たところがある。どちらも読むこと、身を任せることは出来るが、理解することは出来ない」と語る。〈ふーん、面白い考え方をする人だな〉と思った。実際、数多く発表されている彼の作品は、そのひとつひとつの制作意図がとても論理的、出来上がったものは緻密で隙がない。
 今回の演目『眠れる森の美女』は、あまりにも有名な古典バレエ作品。これをノイマイヤーが料理するとどうなるか? 童話としてご存じの通り、これは100年間いばらに包まれた城の中で眠り続ける姫の物語。チャイコフスキーが作曲し、プティパが振り付けて初演されたのは1890年。それから姫が眠ったのと同じ100年の歳月が経とうとしていた1978年、ノイマイヤーは、初演の時代から現代に至るバレエ変遷の歴史をも語る作品として再構築した。
 他に、狂気の天才と伝えられるダンサー・振付家ヴァスラフ・ニジンスキーを描く『ニジンスキー』、ハンス・ツェンダー/シューベルトの曲に振り付けたシンフォニック・バレエ『冬の旅』が今回の日本公演の演目。彼のシンフォニック・バレエは「音楽から、動きと感情の構造を引き出す」作品。これには、現在ハンブルク・バレエで活躍する日本人、服部有吉が出演する予定。ちなみに彼は音楽家・服部良一の孫。
 ノイマイヤーの世界を満喫したい。
「forum」Let's Entertainment! 05年1月号 ユニオン出版ネットワーク発行 より転載